幼児教育を語るひろば

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実りの秋

昨日近くの小学校の前を通ったら子どもたちが、校庭の隅に造った4~5坪くらいの
田んぼで稲刈りをしていました。 私も現役時代には子どもたちと稲を育てたので、
しばらく見物させてもらいました。

民俗学者柳田國男の(1875~1962年)受け売りですが、私は子どもたちに
「田の神」の話をしたことがあります。

「田の神」の話は、東日本と西日本では少し違います。
東日本では、春には「山の神」が田に降りてきて「田の神」になります。秋になると
山に帰って、また「山の神」になります。
田んぼの案山子は雀を追い払うだけでなく、田の神の依り代(神が宿る木)です。

西日本では、話がもう少し複雑になります。稲作文化は西日本からだんだんと
伝わってきたので、色々な話が付け足されたのだと思います。

稲を栽培するようになった日本人は、稲にも人間と同じように生命の営みがあると
信じました。
稲を収穫すると種籾を選びますが、この種籾に稲の霊が宿っていると考えました。
だから特別の俵を作って、翌年の春まで大事に保管しました。

石川県の奥能登地方では、「アエノコト」と言う田の神様をお迎えする行事があり
ます。(国の重要無形民族文化財に指定されている)
毎年12月5日に田の神様が休んでいる種籾の俵を、座敷に安置してお供え物を
します。そして今年の収穫を感謝すると共に、来年の豊作をお願いします。

奥能登地方に限らず種籾俵は、正月になると松飾りをしてお供え物をするところが
多くあります。「歳神(としがみ)様」とか「歳徳神(としとくじん)」と呼ばれて、崇め
られます。これも、五穀豊穣を祈る行事です。

日本の多くの農家では、普段も種籾俵を座敷の床の間や倉座敷に保管しています。
納戸に保管する農家もあります。納戸は、夫婦の寝室です。 子どもが、誕生する
部屋でもあります。
稲もそこで新しい生命を生み出すという信仰が、あるからだと思います。

沖縄の八重山地方にも、似たような風習があります。
刈り取った稲を円錐状に積んだものを「シラ」と言います。勿論中には、種籾も含まれ
ています。 妊婦のことを 「シラントォ(出産する人)」と言います。 お産がある家を、
「シラヤー(出産の家)」と言います。

シラと言う表現は稲の魂と人間の誕生が、同じ観念によるからだと柳田國男は言って
います。氏は血筋とか家筋とかの 「スジ」も、シラと同じ系統の言葉だと言います。

実りの秋になると 田の神様が山へ帰ったり種籾の中で休まれたりという話は、稲作
文化の日本ならではの面白い話です。
子どもたちが稲作りを通して、生命を大事にする人になって欲しいと願いながら 見物
していました。


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