昨日は久しぶりに雨らしい雨が降りました。庭の草木も生き返ったようです。
その庭でコオロギも鳴いています。秋の気配を感じます。
自殺
内閣府の調査によると、18歳以下の子どもの自殺数は、夏の長期休暇が明ける9月1日が突出して多いそうです。
1972〜2013年の42年間に自殺した子どもの数は、18048人もの多数です。自殺者は、いずれも長い休みが終わる頃になると増える傾向があります。内閣府は「環境が大きく変わり、プレッシャーや精神的動揺が生じやすいと考えられる。」と、推察しています。
①9月1日→131人 ②4月11日→99人 ③4月8日→95人
④9月2日→94人 ⑤8月31日→92人
今年の夏休みも、後半に入りました。子どもたちにストレスが溜まっていないか? 悩みや不安はないか? 心身の変化を、しっかり見守るようにしましょう。
自殺を考えている子は、必ず救いを求めるサインを出していると言われます。
このサインを、見落とさないようにすることが大事です。
芥川龍之介が自殺したのは、昭和2年(1927年)7月24日です。現在のように冷房施設が整っていたら、彼は自殺しなかっただろうという識者もいます。
でも彼は、大正11年(1922年)30歳の頃から、健康が衰え始めたようです。大正15年1月には、胃腸病・神経衰弱・不眠症などの療養のため、湯河原に滞在しています。さらに同年4月には、湘南の鵠沼海岸に移って養生しています。
自殺した年の3月には、雑誌 [改造]に「河童」を発表しています。「河童」に登場する詩人のトックは、ピストル自殺しますが、私はいつもトックを作者に重ねて読んでいます。
作中トックの幽霊と会話する件に、次のようなものがあります。
問 心霊諸君の生活はいかん?
答 諸君の生活と異なること無し。
問 しからば君は君自身の自殺せしを後悔するや?
答 必ずしも後悔せず。予は心霊的生活に倦まば、さらにピストルを
取りて自活すべし。
問 自活するは容易なりや否や?
トック君の心霊はこの問に答うるにさらに問をもってしたり。
こはトック君を知れるものにはすこぶる自然なる応酬なるべし。
芥川龍之介が自殺した年の10月、[改造]に「或阿呆の一生」が掲載され ました。その [四十九 剥製の白鳥] の中に、こんな一文があります。
彼は「或阿呆の一生」を書き上げた後、偶然ある古道具屋の店に剥製の白鳥のあるのを見つけた。それは頸を挙げて立っていたものの、黄ばんだ羽根さえ虫に食われていた。彼は彼の一生を思い、涙や冷笑のこみ上げるのを感じた。彼の前にあるものはただ発狂か自殺かだけだった。彼は日の暮れの往来をたった一人歩きながら、おもむろに彼を滅ぼしに来る運命を待つことに決心した。
あの芥川龍之介でさえ、自殺のサインを出していたのです。
自殺
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