幼児教育を語るひろば

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母性本能

高校時代の先輩渋谷達明氏(筑波大学名誉教授で日本味と匂学会会長・嗅覚味覚研究所所長などを歴任)は、匂いの研究では世界的な権威です。

同氏から戴いた「動物の神秘を探る(白揚社発行, V・B・ドレシャー著, 渋谷達明訳)」に、[あてにならない母性本能] という一節がありました。
そこには、自分の卵で無いカッコウの卵を育てるヅグロムシクイという渡り鳥の話が載っています。

カッコウは、日本でも托卵させる鳥として知られています。オオヨシキリ・モズ・ホオジロなどの鳥の巣に卵を産み、抱卵と育雛を巣の主に任せるのです。

ヅグロムシクイの巣に産みつけられたカッコウの卵とヅグロムシクイの母鳥の様子を、「動物の神秘を探る」では次のように紹介しています。

 殻から出てきて二・三日たつと、そのカッコウの小さなモグリ屋は、とてもそんな残酷な奴とは思えないが一連の生まれつきそなわった行動の型に従って、乳兄弟を巣の外になれた手つきで捨て去ってしまう。まず、その兄弟の下にもぐり込んで、羽の間にある背中の上にしっかりと背負い、巣の縁の方へじりじりと押し上げてゆく。そして縁の所にくると、はねてふりおとすような動きで、いやがっている兄弟を外へふりおとしてしまうのである。
 
 普通、この不運なひなは巣の外に投げ出されつみ重なって死んだままになる。しかし時には巣の縁の上におきざりにされていることがある。この時もっと驚くようなことがおこる。つまりそのひなはそのままにされてしまうのである。母親のヅマグロムシクイは、巣の縁の上自分の目の前にどうしようもなく横たわっている自分のひなを救う努力をちっともしないで、巣の中に腰をおろしてしまうのだ。母親がちょっとクチバシで押してやれば十分安全に巣の中にもどしてやれるのに、そのひなを空腹と寒さで死なせてしまうのである。

 このヅグロムシクイの本能は、星によって導かれながら、アフリカまで長い道のりを飛ぶことができるのに、こういう状態にいる自分の子どもを救うために食物を与えようとしないのである。他の動物と比較して、ヅグロムシクイは経験から学びとったり、そういう状態の理性的な判断の訓練については全く「まぬけ」である。


「焼け野の雉子夜の鶴」と言われる母性本能も、子どもの虐待事件のニュースを見聞きする度に疑いたくなります。「本能」という言葉を簡単に使いますが、実はあまりよく理解されているわけではありません。

本能的反応としては、人間社会でも最近筋の通らない行動が多く見られます。心理学界でも、多様な状況下での行動を分析調査して、様々な解釈が為されているようです。人間の本能は動物のそれより複雑ですから、従来の本能の概念を大きく変えるような結果が出るかも知れません。


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