幼児教育を語るひろば

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五月讃歌

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ジャーマンアイリス(ドイツアヤメ) (2014,5.10写す)

私は五月生まれです。五月が好きな理由でもあります。

笈も太刀も 五月にかざれ 紙幟 (芭蕉・奥の細道から)

「風の三月と雨の四月が、美しい五月を作る。(Windy March and a rainy April make a beautiful May)」 ヨーロッパではそう言われます。

美しい五月を讃える詩は、古今東西たくさんあります。

枕草子「五月の山里」の一節は、わが国の文学、特に近代の詩人たちに大きな影響を与えたと、蒲原有明(1875〜1952年・明治〜昭和時代に活躍した詩人)は言います。
彼は自身の詩集「春鳥集」の序文に、「平安朝の女流に清少あり、新たにうけたる感触を写すに詳しくして幽趣をきわむ。・・・」と書いています。

 「五月の山里」 (枕草子から)
五月ばかり山里にありく、いみじくをかし。沢水もげにただいと青く見えわたるに、上はつれなく草生ひしげりたるを、ながながとただざまに行けば、下はえならざりける水の深うはあらねど、人の歩むにつけてとばしりあげたる、いとをかし。 (中略)
よもぎの車に押しひしがれたるが、輪のまひ立ちたるに、近うかかへたる香もいとをかし。


佐藤春夫(1892 〜1964年)は、「望郷五月歌」という詩でこう詠ってます。

 望郷五月歌(部分)
 
 (前略)
 夏みかんたわわに実り
 橘の花さくなべに
 とよもして啼くほととぎす
 心してな散らしそかのよき花を
 朝霧か若かりし日の
 わが夢ぞ
 そこに狭霧らう
 朝雲か望郷の
 わが心こそ
 そこにいさよへ
 空青し山青し海青し
 日はかがやかに
 南国の五月晴こそゆたかなれ
 心も軽くうれしきに
 海の原見廻かさんと
 のぼり行く山辺の道は
 杉桧樟の芽吹きの
 花よりもいみじく匂い
 かぐわしき木の香薫じて
 (後略)



でも、五月を讃える詩ばかりではありません。
草野心平(1903〜1988年)の詩に、こんなのがありました。

       五月

 すこし落着いてくれよ五月。
 ぼうっと人がたたずむように少し休んでくれよ五月。

 樹木たちが偉いのは冬。
 そして美しいのは芽ばえの時。
 盛んな春の最後をすぎると夏の。

 濃緑になるがそれはもはや惰性にすぎない。
 夏の天は激烈だが。
 惰性のうっそうを私はむしろ憎む。

 五月は樹木や花たちの溢れるとき。
 小鳥たちの恋愛のとき。

 雨とうっそうの夏になるまえのひとときを五月よ。
 落着き休み。
 まんべんなく黒子も足裏を見せてくれよ五月。



五月には日本ダービーがあります。(昨年は5月26日でしたが、近年は6月開催が多くなりました。今年は6月1日だそうです。)
ロンドン郊外で行われる本場のダービーは、イギリスに初夏を告げる年中行事の一つになっています。

駿馬という言葉がありますが、3歳馬は人間なら20歳、働き盛りです。日本ダービーをテレビ観戦しているだけでも、若さを貰えるような気がするのは、そのためだと思います。

徒然草にも、「五月五日賀茂の競馬を」という段があります。京都の上賀茂神社で1039年に始まった競馬で、毎年5月5日に催されます。

当時も人気があったようで、兼好法師は「徒然草」の中でこう書いています。
「五月五日、賀茂の競馬(くらべうま)を見侍りしに、車の前に雑人立ち隔てて見えざりしかば、各々下りて、埒(馬場の柵のこと)のきはによりたれど、ことに人多く立ちこみて、わけ入りぬべきやうもなし。(後略)

 うちしめり あやめぞ香る 郭公鳴くや
      五月の雨の夕暮れ

               (摂政太政大臣・新古今集から)


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