幼児教育を語るひろば

幼児教育を語るひろば

野分

台風18号が、各地に大きな爪痕を残して去って行きました。
日本列島は台風銀座です。台風による被害は、宿命のようです。

1000年前の台風の様子が、「枕草子」に載っています。
「野分の又の日こそ、いみじうあはれにおぼゆれ。たてじとみ、透垣などの伏しなみたるに、前栽ども心苦しげなり。大きなる木ども倒れ、枝など吹き折られたるだにをしきに、萩、女郎花などの上によろぼひはひ伏せる、いと思はずなり。」

野分の後は、垣根や植え込みの植物も無惨な姿になっています。大きな木も倒れ枝も吹き飛ばされていたと言いますから、今の台風被害と変わりません。
そして秋の七草の萩や女郎花の上に、それらが覆い被さっているのを嘆いています。

台風18号では、わが家も植木鉢が転がり簡易温室の屋根が飛ばされていました。自然には逆らえないとは言え、台風の仕業にはいつも手を焼きます。
でも清少納言の時代は、自然との関わり方が少し違っていました。台風に荒らされた庭を舞台に、かえって美しい物語を展開しています。

「格子のつぼなどに、木の葉をことさらにしたらんやうに、こまごまと吹き入れたるこそ、荒かりつる風のしわざともおぼえね。」と、先ず台風をかばっています。台風が格子の桝目などに、木の葉をわざと挟んでいると言うのです。

そして台風騒ぎで眠れなかった17〜8歳の少女を登場させて、台風が去った後の様子を情趣豊かに描いています。
「母屋から出て来た少女の黒髪は風で吹き乱されて、少し膨らんでいるけど肩にかかっている様子が素敵だ。」 と。

そして「生絹のひとへのいみじうほころびたる、花もかへりぬれなどしたる、うす色の宿直物を着て、髪は尾花のやうなるそぎ末も、たけばかりなりければ、衣のすそにはづれて、はかまのみあざやかにて、そばより見ゆる、わらはべ、若き人の、根ごめに吹き折られたる前栽などを取り集め起し立てなどするを、うらやましげにおしはかりて、つきそひたるうしろもをかし。」と、彼女の行動を少し官能的な表現? で描写しています。

「色あせた夜着を着ているが、髪がつややかで美しく、毛先もススキの穂のようで背丈くらいの長さがあり、衣の裾に隠れて袴の端々から見える。子どもや若い人たちが、倒れた木を起こす様子を、簾に寄りかかってうらやましそうに見ている後ろ姿は風情がある。」と、自然の美しさと人間の情が美しく織り交ぜられて語られています。
(源氏物語「野分」の巻の影響を受けているように思います)

台風18号をやり過ごしてから、「枕草子」をひも解いてみました。


コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://freesia7.blog10.fc2.com/tb.php/1363-b91c1d83