幼児教育を語るひろば

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夏休みの宿題

これは私が校長時代、実際にあった話です。M、K君はお父さんが日本人、お母さんがアメリカ人でした。お父さんは日本の大手企業のアメリカ支社に勤めていましたが、彼が4年生になった時に日本の本社勤務に変わりました。

彼は初めて日本に来たのですが、アメリカでは日本語の補修校へも通っていたので日本語は話せました。ところで問題は、夏休み直前に起きました。

担任が夏休みの宿題を出したところ、彼は「宿題はやらない!」と言うのです。そして「アメリカの夏休みは自由で、宿題は無い!」と、主張しました。 それに夏休みは
お母さんとアメリカへ行く予定だからと、彼は強く宿題を拒否したのです。

担任もはじめのうちは、「出来る範囲でやるように!」と説得していました。 しかし
お母さんとアメリカへ行く事情を知って、宿題はやらなくてもよいと許しました。

そうなると他の子どもたちが、黙っていません。田舎へ行く子・海外旅行に行く子を
中心に、「条件は同じだ! 不公平だ!」と言う不満の声が噴出してしまいました。
結局担任は「宿題はそれぞれが出来る範囲でやればよい」ということで、子どもた
ちと妥協しました。

私はその話を聞きながら、本来夏休みの宿題とはそういうものと思っていましたから担任の決定を肯定しました。さらに職員会で夏休みの宿題について、職員それぞれの考えを聞いてみました。そして、「学習意欲を継続させるためなら、必要最低限の
宿題は課してもよい。」と決めました。

私はそれに加えて、特に夏休みの宿題は子どもが興味を持って意欲的に取り組める
ような課題・内容になるようにと助言しました。もう、十数年前の話ですが・・・・


高校生(私立)と中学生(公立)の孫の、夏休みの宿題を尋ねてみました。二人とも
教科ごとに、宿題を一杯抱えていました。受験対策も兼ねているような宿題ですが、
二人ともやる気はいまいちでなかなか消化出来ずにいます。
「夏休みは自由時間だ!」と言った、あの時のM、K君の言葉を思い出します。


夏休みの宿題は、季節の風物詩として新聞の4コマ漫画でもよく取り上げられてい
ます。しかし大人が考える以上に、夏休みの宿題は子どもたちのストレスになって
いるのです。

ひどい場合は夏休みが残り少なくなると、宿題が脅迫的に子どもの心に迫ってきます。客観的に見ればバカバカしいことですが、学校恐怖症に陥る子さえあるのです。

宿題の提出日が近づくと発作的に強い不安にかられて、動悸や息切れなど体調不良を訴える子もいます。心身の健康を考えての夏休みなのに、宿題のため逆効果を招くことになります。

「夏休みは子どもたちの自由時間・勉強も休み!」 学校も家庭も いや世間も、そう
考えるようになって欲しいものです。