幼児教育を語るひろば

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基礎教育とは?

基礎教育について先ず私見を述べますと、学習活動を支える力(エネルギー)だと
思います。 具体的には、幼稚園では探求心を育てる・小中学校では人間らしさ
(人間性)を育てるということです。

子どもは、生まれながらにして探究者・科学者です。 幼稚園でも子どもたちは 
「何故? どうして? 不思議だ! 試してみよう! ・・・」 と、すぐ自然事象に
興味・関心を示して探求し始めます。

小中学生になると 自立性・積極性・協調性・責任感・思考力・判断力・・・・ が
ついてきて、これらが学習効果を左右するようになります。

教育の父ペスタロッチは、教育の中心概念は「純粋な人間性」だと言いました。
全体的・調和的発達を目指す教育こそ、真の教育だとも言っています。

でも学校(園)は、相変わらず知識伝達の場になっていないでしょうか? 

一般的に、 幼稚園教育は小学校教育の基礎・小学校は中学校の・中学校は
高等学校の・高等学校は大学の基礎と言われます。内容的には、知識(知的
能力)の系統を表わしていると思います。

ですから親は(時には先生も)、各発達段階における学習活動を支える力を知識と
受け止めて、それを基礎と考えています。転じて学校のテストや入試問題の解答
能力を、教育の基礎と思い違いしている場合が多いのです。

学校や入試で実施されるテストは、狭い範囲の知識(学習内容の理解度)を調べ
るに過ぎません。それを「学力」として評価すると、基礎教育も知識重視に傾いて
しまいます。

ブルーナー J.S.は 「教育の過程 (岩波現代叢書)」の中で、 次のように述べて
います。

「ある分野で基本的諸概念を習得するということは、ただ一般的原理を把握すると
いうだけではなく、学習と研究のための態度、推量と予測を育ててゆく態度、自分
自身で問題を解決する可能性に向かう態度などを発達させることと関係がある。」

教育の基礎とは、学習に取り組む態度のようです。

幼児の頭脳は、大きなプールのようなものです。初めのうちは知識を注ぎ込もうと
思えばいくらでも入ります。 それにこの時期の頭脳は柔軟ですから、無理も利き
ます。 知識の質や量を、自分で考え判断する力はありません。 清濁併せ呑む、
という感じです。

知識のプールも小中学生までは、まだ余裕があります。ところが高校から大学へ
進む頃には、さすがのプールも満杯になります。新しい知識や自分の考えを入れ
ようとしても、今までに溜まった知識が邪魔をします。

もちろん今までの知識を取捨選択したり、再利用したりする力は全くありません。
せっかく溜めた知識も、無用の長物となってしまいます。

幼児期での探求心や 小中学生時代での人間らしさが育っていないと、こういう
心配が予想されるのです。特に幼児教育に携わる者は、教育の基礎とは何か? 
もう一度しっかり考えて欲しいと思います。

 (ある幼稚園教諭の質問から)