幼児教育を語るひろば

幼児教育を語るひろば

松上鶴不群

「風の三月と雨の四月が美しい五月をつくる」という諺が、ヨーロッパにあるそうです。それにしては、昨夜から今朝にかけての激しい風雨はどうしたのでしょうか? 本州の南岸沿いを発達しながら進んだ低気圧に、台風4号からの湿った空気が吹き込んだためとニュースは報じています。


ミャンマーの大型サイクロンによる災害・中国四川省の大地震による災害、気象災害の恐ろしさをあらためて思い知らされました。

嵐の前の静けさと言いますが、災害は忘れた頃にやってきます。 日本列島は台風街道ですし、地震多発地帯でもあります。

気象災害では、何が危険なのか? 何によって私たちは守られるのか? この際自らの問題として、自分の「災害十戒」を考えてみる必要があると思います。


先日書家のS先生のお宅を、訪ねる機会がありました。S先生は著名な書道団体を主宰され、書道界でも多くの賞を受賞されています。すでに80歳を超えられましたが今でも多くのお弟子さんの指導に当たりながら、毎年銀座の鳩居堂で個展を開かれる活躍ぶりです。

その先生が珍しく、「短冊を書いてあげよう!」と言われました。今まで書をおねだり
するのは恐れ多いと控えていましたが、「本当ですか?」と思わず嬉しい声をあげて
しまいました。

先生はメモ書きされた紙片を私に見せて、「その中に気に入った言葉があるかな?」と言われました。紙片には、次のような言葉が並んでいました。

「松上鶴不群」 「漁夫生涯竹一竿」 「且坐喫茶」 「翰墨遊戯」 「亀龍壽」 「蛍之光窓之雪」 「翰墨伴清間」 「百花為誰発」 「蝸牛そろそろのぼれ不二の山」

意味が分からない言葉もあったので、先生に一つ一つ解説して頂きました。

私は「松上鶴不群(しょうじょうのつるはむれず)」と「百花為誰発(百花だれのためにひらく)」の二つを選び、「どちらかをお願いします」と言いました。すると先生はよほどご機嫌よかったとみえて、「じゃあ二つ書いてあげよう」と言われました。

2枚の短冊にそれぞれの言葉をすらすらと書き上げられて、「松上鶴不群」を見ながら
「吾は人にまどわされず吾あり!だな」と言われました。

現代社会において、雑音にまどわされずに吾が道を歩むことは大変なことです。でもその気概だけでも、持ち続けたいと思います。

「群れず!」といっても、排他的であったり孤独であったりするのは避けねばなりません。浮き世はすべて、持ち回りです。自分さえ良ければよい、というわけには参りません。色々な立場や境遇の人たちと、バランスを取って協調することも大事です。そのためにも座右の銘として、いつも目に見える場所に掲げて置くようにしようと思いました。


「百花為誰発」、もちろんあなたのために花は開くのです。「相手への思いやりの言葉だ」と、S先生も言われました。

自己中心的で自分勝手な人が多く、潤いの無い世の中です。口は出すけど、手は貸してくれません。それぞれの気持ちが、バラバラな世の中です。加えて格差社会と言われ、孤独で寂しい暮らしを強いられている人がいっぱいいます。

潤いの無い世の中であればあるほど、美しく開く花のように相手を思う優しい心を大切にしたいと思います。そして格差社会で苦しむ人たちにも、優しい声をかけていきたいと思います。

短冊に書いて頂いた二つの言葉をしっかり抱いて、心新たな気持ちで帰宅しました。