幼児教育を語るひろば

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人生50年 夢まぼろしのごとし

「幼児期は夢を見る時代」と 私は幼稚園に在職中 お母さんたちに いつも話していました 幼児の夢は たわいもないものが多く 大人から見ると バカバカしくて まともに取り上げる気になれないものが 殆んどです
それでも私は 「子どもたちの夢を 受け止めてあげなさい そして その夢が もっともっと膨らんで行くような会話を 親子で楽しみなさい」 と言いました 夢の時代は 空想の時代 おとぎ話の時代とも言えます

あるお母さんから 「子どもが年長さんになったら 急に サンタクロースは本当にいるの? プレゼントは お父さんが買って来るのじゃないの? と言われました いると答えたら 嘘になりませんか?」 と尋ねられました

私は 次のように答えたのを覚えています

「幼児期は 空想の時代・おとぎ話の時代です 空想やおとぎ話では 嘘が許されます なぜなら 子どもたちの 想像力・創造力をはぐくむためです 

おとぎ話を読み聞かせする時 こんな話は嘘だと思いながら 読み聞かせしていますか? そうではなくて 物語の中の 愛情・友情・信頼・親切・思いやり・平和・希望・努力・精進等々の 目に見えない 人の心の中の 大切なものを伝えようとしているはずです

いつか 子どもは嘘に気づく時が来ます お母さん自身がそうだったように 真実を知ったからと言って おとぎ話に怒りを感じたり ストーリーを否定したりするようなことはありません
つまり 幼児期に必要だったのは 目に見えない 人の心のあり方を教えたかったのです ですから 「サンタクロースは います」 と答えてよいのです
ただ 子どもがそれでも疑問に思っているなら 「お母さんはいると思うけど 調べてみたら・・」程度に答えておきましょう 
成長には個人差があって 早い時期に 空想や おとぎ話の世界を卒業する子があっても 一向にかまわないのです

「幼児期は夢の時代」の話が 長くなりました

織田信長が好んだ 幸若舞いの 「敦盛」の一節があります

人間50年 下天のうちをくらぶれば
夢 まぼろしのごとくなり
ひとたび生をうけて
滅せぬものの あるべきか

下天とは 仏教の世界観です 人生50年も 下天では1昼夜に過ぎません
私は 幼稚園を退いてから 「夢の時代」は 幼児期だけのものではなく 人生ずうっと 夢を見ているような気がします

少年少女時代は 早く1人前として認められる 大人の世界にあこがれます 思春期は 素敵な恋人や 豊かな家庭生活を夢見ます 勤めに出るようになれば 理想の職場を描いて努力します
そして 定年退職すると 老後の人生設計を あれこれ考えて 楽しみを求めます さらには 死後の世界まで見つめるようになってきます

夢といえば いつかは叶うように思いますが まぼろしとなると すぐに消えてしまうような気がします
ただ 夢を叶えるには それなりの環境と世話が必要です それも 既成のものにこだわらない 失敗を恐れない 伸び伸びと 自由に探求する姿勢が大事です

人は様々な夢を見ながら 一生を過ごします 夢を見ることによって 人の心も成長して行くのです 心の成長は生涯つづきます