幼児教育を語るひろば

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再 心の天秤

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石楠花 ( 2013, 5. 20 身延山久遠寺奥の院思親閣付近で )


心の天秤 については、すでに書いたことがあります。
テレビのワイドショーを見て、再度書くことにしました。

新潟の小2少女殺害事件を知った地元の小学生が、インタビュアーにこう答えていました。

「本当に可哀想です。お父さん・お母さんは、とても悲しんでいることでしょう。どうしてあげたら良いのでしょう?」 と。

子どもたちは、心の中に悲しみを測る天秤を持っています。
そして、自分の心と他人の心をいつもその天秤に載せて測っているのです。

天秤は、常に調和を失わないようにうまくバランスを保っています。
一方の皿に他人の悲しみが載ったら、もう一方の皿には「可哀想だ、どうして慰めてあげようか。」 と言う、優しい心の分銅が載ります。

小学生ですから、被害者の両親を慰める術は分かりません。でも自分が大きくなったら、「こんな悲しい事件が起きない社会にしよう!」 と、命を大切にする分銅を見つけているはずです。


私たちの心の天秤は、羽毛のようにデリケートな人の心も測ると共に、地球のように大きく重たいものもちゃんと測れる精巧な秤です。


心の天秤があれば、渡る世間に鬼はいません。子どもたちの優しい心の天秤は、いつも機能しているのです。



ガマンすること

きょう、近くのスーパーへ買い物に出かけた時の出来事からです。


3歳ぐらいの幼児が、菓子売り場の前でダダをこねているのに出合いました。何か欲しいお菓子があるのでしょう。

母親はそれを無視しているので、子どもは大声で泣き叫ぶようになりました。それでも母親が菓子売り場を離れると、今度は床に座り込んで、手足をバタバタさせながら泣き叫んでいました。


幼稚園でも、年少さんの中にはガマン出来ない子どもが何人かいました。ジーッと座って待つこと・きまりを守ること・自分勝手な行動をしないこと・・・  など。

先生方が熱心に指導しても、ガマン出来るようになるまでには、ずいぶんと時間がかかりました。


最近の子どもたちの良い点は、自由に自分の考えをハッキリと主張して、進んで行動出来るようになったことです。しかし、培っておくべきでありながら疎かにされたこともあります。

それがガマンすることです。ガマンを教えるには、3歳では遅すぎます。物心つく頃には、身に付けさせておくべきことです。


どうしたら、身に付けさせることが出来るのでしょうか?  

子どもは、大人の言うようにはなかなかなりませんが、大人のするようにはすぐになります。つまり、後姿から学ばせるということです。


ガマンを教える特効薬などありません。時間のかかる、忍耐のいる仕事です。

SONY の名誉会長だった 井深 大 氏は、「 早教育は、智育から始めるのでは無い。もう半分の、心を育てる教育から始める。」 と言われます。


次の教えは、旧会津藩学舎「 日新館 」 の館則です。

相成らぬことは相成らぬ

自立心が育っている子とは、自己抑制が出来る子のことです。

英国の有名なイートン中学校の校則にも、「 成さねばならぬことは成せ。成してならぬことは成すな。 」と教えています。

古今東西、人間として最初に身につけなくてはならないことなのです。


今日は「母の日」ですが、スーパーでの出来事から、最近の若いお母さんたちは「子育てに余裕が無いのでは?」 と、心配になりました。



優しい心を育てる

米国は、シリアでアサド政権が化学兵器を使用したと断定し、英仏と共同作戦でシリアの化学兵器関連施設をミサイル攻撃しました。

今日の朝日の天声人語では、こう述べています。

(前略)
核戦争の恐怖がすぐそこにあった米ソ冷戦の時代を映している。

「冷戦が戻ってきた」。国連のグテーレス事務総長が内戦下のシリア情勢をめぐり、そう述べたという。何を大げさなと思われるか。だが米国とロシアが角突き合せるさまを見ると、指摘はあながち間違っていない。

(中略)
「地下で毛布をかぶり『もうすぐ死ぬ』と思っていた」。内戦から逃れた12歳の少女の言葉が先日の紙面にあった。大国に求められるのは、人々が暮らしを取り戻せるよう手助けすることだ。人々を翻弄することではない。



だから今こそ子供たちに優しい心を育てなければ、永久に平和を望むことは不可能です。

幼児期は、優しい心を育てる大切な時期です。心の発達段階から考えても、適切な時期なのです。

幼児は、アニミズム的な考えを持っています。ですから草花がしおれると、「のどが渇いたのね。かわいそうに。」と話しかけます。茎が折れたりすると、自分が骨折したように痛みを感じます。

生物だけではありません。サッカーボールを蹴ると、ボールが痛がると真剣に思います。

このアミニズム的な考え方は、人が成長するまでの未発達段階における重要な思考形態なのです。

人はこの頃に他を思いやり、他の痛みを感じ取るという大切な心情が生まれ育つのです。

この時期に大人が、「花は痛みを感じない」とか、「物は人間と違う」とかいうように強く訂正したりすると、子供の情緒の発達は乱されます。

すると子供は、生き物をいじめたり、物を壊したりする攻撃的な心情が強まるのです。

幼児期の情緒の動きを、大人は乱してはいけません。優しい心は、物事を深く考え工夫する力を生み出します。それはやがて、戦争を避け平和を願う強い精神力へと成長して行くのです。


幼児の言葉から

今日の朝日新聞の『天声人語』に、「小さな子どもの言葉がいざなってくれる世界がある。」という一文があります。

飛行機雲を見上げて「ひこうきが、お空にらくがきしてる!」。夏の日に朝顔を見て「あさがおってどうして朝だけさくの。ひるまになると小さくなっちゃうよ。早起きしたからおひるねしてるの。」

3歳児が口にしたのを、今井和子さんが著書『子どもとことばの世界』で紹介したものです。今井さんは。心が対象と一つになっている姿が、詩人と共通しているように思えてならないと言われます。

『天声人語』は、フランスでは3歳児から義務教育を始めるという話題を取り上げています。子どもたちの格差を是正するのが、狙いだそうです。

3歳児からの義務教育が、苗木たちを無理にまっすぐにしたり、競わせたりすることがないよう願っていると締め括っています。

そして子どもたちの将来へと続く意欲をどう育むか。日本の幼児教育にとっても課題であると結んでいます。私も同感です。豊かな子どもたちの可能性を抑制するようなことがあってはなりません。


私も、現職時代に子どもたちの言葉を記録したものがあります。
いくつか紹介します。

 (いずれも5歳児の言葉)

* けいどろがたのしかった。ぼくはけいかんの役で、4人つかまえた。ほんとう
  のおまわりさんになったみたい。(男児)

* ゆきこちゃんとはねつきをした。はねが小鳥さんのようにとんでいた。
  (女児)

* くじらのような雲がおよいでいる。まわりにけらいの小さな雲をつれている。
  (男児)

* むさしがわこうえんへ花つみにいきました。お花がぬりえのようにきれいに
  咲いていました。(女児)

* さやちゃんとなわとびをしました。11回もとびました。オリンピックの
  せんしゅのようでした。(女児)

* すなばであなほりきょうそうをした。バケツで水をいれた。いけができたけ
  ど、すぐにきえた。(男児)

子どもは、うまれながらにして詩人なのです。


子供の体と心

子供たちがその生涯に渡って健やかな生活を営むためには、様々な条件や制約が必要です。その中でも次の2点は、特に大事です。

 ① 心身が健康であること。
 ② 良い家庭環境の中で、正しい生活習慣を身につける。

幼児期は、独立への1歩です。今までは大人の世話になって行動していましたが、ひとりで歩き、ひとりで考えて行動するようになります。

自我の意識も芽生えてきます。自分で何でもしようとします。そして2〜3歳頃には、要求が通らないと反抗するようになります。幼児の成長過程で、必ず通る道です。

反抗期が訪れたら、大人は落ち着いて見守ってあげましょう。自分でやろうとしている時は、下手でも失敗してもやらせてみます。子供の個性がはっきりして来るのも、この頃です。

家庭は、幼児の心身を育てる大事な場です。家族関係は、子供の心身の発達に直接影響します。家族関係が悪いと、子供は問題行動を起こします。

家庭環境で、一番大事な役割を担うのが母親です。子供は母親に甘える時、子供の心は落ち着きます。

この頃の子供は、とにかくじっとしていません。好奇心も強く、興味関心を抱いたことには、何でも手を出します。周囲のことなど気にしません。

危険なことの経験も少ないので、目が離せません。それなのにすぐ飽きて放り出します。それがこの頃の子供の特徴なのです。

遊びは子供の生活の中心であり、大事な体験です。4歳頃は、友だち遊びができるようになります。友だちの行動や言葉を真似します。ケンカもするようになります。

子供のケンカに大人が口を挟むのは、感心しません。なるべく子供にまかせるようにしましょう。遊びの経験が深まると、遊びのルールも分かるようになり、自分たちで解決します。

4〜5歳になると急速に運動能力が発達し、運動神経も発達します。色々な運動ができるようになります。リズムに合わせて歩いたり高い所あら飛び降りたりできるようにもなります。

この頃になると、反抗期は卒業します。親の手伝いも、喜んでするようになります。それには、正しくほめたりしかったりすることが大切です。

気をつけなくてはならないのは、事故です。4〜5歳頃に多いのも、子供の行動が活発になり運動能力もあるからです。事故で多いのは怪我です。注意しなければいけませんが、怪我をこわがって遊びを制限しすぎてはいけません。


子供の体や心について、気づいたことを書きました。